Business column

「仕事と人」の関係が変わり始めた時代/ジョブ型移行でも大切にしたいこと

「仕事と人」の関係が変わり始めた時代/ジョブ型移行でも大切にしたいこと

皆さん、こんにちは。季節の移り変わりはあっという間ですね。体調管理には十分お気をつけください。

さて、こちらのビジネスコラムで以前に、アメリカ留学をしていたときの話をしました。ステイ先のホストファザーは、アメリカ大手企業に勤務していました。そのホストファザーと「日本とアメリカの雇用の違い」について話したことがあります。今日は、その話をご紹介しつつ「研修があるということは、ありがたいこと」と、素直に感じた私の経験談にお付き合いください。

アメリカと日本では面接の質問内容が違う?!

ホストファザー(エンジニア)は、オフィスに行く日と自宅で仕事をする日との2パターンの勤務体制でした。ある日、自宅で電話会議をしている声が聞こえ、どうやら内容からして、「採用面接」を電話越しに実施しているようでした。

「今、〇〇の現場で△△が故障したと一報が入りました。あなたは、この一報で⑴何を確認しますか? ⑵どの道具を持って現場に行きますか?⑶どのくらいの時間で直せますか? ⑷コストはどのくらいだと予想しますか?」と、いう具合に「こんなときはどうしますか?」という、ケース別の対処を問う内容と、「優先順位が変わったときにあなたがとる方法を教えてください。過去にどんなことがありましたか?」という、行動面接(behavioral interview)が最初から最後まで続いていました。

 

私は、電話面接が一区切りついたホストファザーに、コーヒーを淹れて持って行ったのですが、本当の目的は、面接の質問内容について尋ねたいことがあったのです。「応募者の長所、短所は聞かなくていいの?」「自己PRしてもらわなくていいの?」と、日本で企業面接を受けてきた私は、自分が面接で質問されたことを聞かなくていいのか尋ねました。

答えは「自己PRに関しては、“Tell me about yourself”って、最初に聞くんだよ。もちろん仕事に関連付いている内容かチェックしているよ。」「長所と短所か・・・もちろん聞くときもあるけれども、今回の採用は、もうすでに仕事の詳細、勤務地、報酬なんかも決まっていて、この仕事ができる能力をすでに持っている人が対象なんだよ。だから面接で聞きたいことは、専門性レベル、経験値が主な質問になるんだよ」と教えてくれました。

ジョブ型とメンバーシップ型とは?

そして私が知った言葉が「ジョブ型」と「メンバーシップ型」のふたつ。「ジョブ型」は、「仕事に対して人を配置」、それに対して「メンバーシップ型」は「人に対して仕事を配置」するもの、ジョブ型は欧米流であり、メンバーシップ型は日本企業流だと知りました。

 

簡単にまとめてみます。

ジョブ型

・仕事に対して人が割り当てられるという雇用

・スキル重視の雇用で生産性の向上を目的とする

・同様のポジションでより報酬のよい企業へ転職する、ジョブ・ホッピングが起きることがある

メンバーシップ型

・先に人を雇用して仕事を割り当てる雇用

・年功序列/終身雇用

・専門的スキルが必要なこともあるが、人柄・コミュニケーションが重視される

確かに、私の父は、最初に就職した会社を定年まで勤めあげました。私のアメリカ人の友人は、航空機エンジニアとして同じ業界、同じ仕事で、すでに違う3社を経験しています。

「ジョブ型」「メンバーシップ型」ともに、メリットとデメリットを持っているため、「こっちの方がいい!」というのは、あくまで働く人による価値観だと思っています。私自身、新卒でメンバーシップ型の日本企業に就職。転職先がジョブ型の外資系企業(日本支社)でした。そう言えば、転職先で、初日にいきなり部下が3人できて戸惑った記憶があります。

ジョブ型に移行する企業に研修は不要になるのか?

「アメリカって、社員が集まって研修したりするの?」という質問には、「例えば、新しい部品が出たとしよう。この部品についての知識や使い方などは、関係者が集まって社内で勉強、トレーニングすることはある。企業によって違うとは思うけど、基本的には個人自らがスキルアップのために学びたいことがあれば、自己投資として勉強する傾向にあるんだよ。」と答えたホストファザー。

この話を聞いて、「入社したら新入社員研修、1年目、2年目、若手、中間管理職など、段階別に研修内容を会社が考え、企画、実施してくれる。もちろん会社が研修費用を負担してくれる。これは、当たり前のことではない。その対価として、自分自身が成長し、成果で貢献することにこそ研修の意義があるのかな・・・」と感じたのです。

昨今、テレワークが増えて、さまざまな日本企業が「ジョブ型」を導入しはじめたそうです。成果主義ともなると、人間関係はややドライな傾向になるかも知れません。とは言え、「ジョブ型で仕事をしているから、人間関係は関係ない」というわけにはいかないのではないでしょうか。

 

会社が「研修の場を提供してくれる」ということに対して、社員自らがその意義と目的を理解した上で参加することで、社員一人ひとりのさらなるスキルや能力アップが期待でき、会社の成長に貢献できるようになるのではないかと感じています。これから先、日本企業がどんどん「ジョブ型」を導入したとしても、「メンバーシップ型」のときのような「人は資産である」という日本ならではの考え方は大事にしていきたいものです。

最後までお読みいただきありがとうございました。