Business column

お客様の本当のニーズを聞き出す営業とは

ヒアリングの5つの基本

成果を出す営業研修のカリキュラムを考えるには、ヒアリングスキルを身に付けることが不可欠です。今回は、ヒアリングの基本について考えていきます。

三つのきく

「きく」というと、どのような漢字を思い浮かべますか?「聞く」「聴く」「訊く」はいずれも「きく」です。広義ではどれも「相手の話を耳にする」行為を表します。しかし、使う漢字が異なると、意味内容は違ったものになるのです。違いを見ていきましょう。

 

「聞く」は、一般的に、どんな場面でも使われます。しかし、この「聞く」は、積極的にヒアリングする、リスニングするというよりも、「漠然と話をきく」といった意味合いが強いのです。

 

「聴く」は、傾聴という言葉にも使われているように、より注意を傾けて積極的に話をきくことです。「聴」は、耳へんと「十四」と「心」に分解できます。つまり、よく耳を使い、「十四」倍のエネルギーで、しっかりと「心」で受け止めることを意味するとも言われます。

 

「訊く」は、同じ漢字を使って「訊ねる」とも読むように、質問して相手から答えを求める場合に使います。相手の話の不明な点等を質問で明らかにすることです。三つの「きく」の中では、最も積極的なヒアリングとも言えます。

 

お客様からのヒアリングにおいては、その話の段階や内容に応じて、この三つの「きく」を使い分けて、スムーズに必要な情報を入手することが重要です。

お客様に関心を持つ

相手に関心を持ってこそ、必要な情報や、相手が本当に考えていることを聴き出すことができます。ただ、これが簡単ではありません。皆さんは、本当の意味で、相手に関心を持って会話ができていますか?

 

というのも、誰しも「自分が自分が」ということになりやすいのです。自分の正しさを主張したり、あるいは自分にとってメリットになることを話したくなります。会話泥棒、というのはご存じでしょうか?相手が話していた内容について、(あ、それは私も知っているなぁ)(私も先週行った!)(それは、ちょうど食べた新商品だ!すごく美味しかった!!)と思った瞬間、「あー、それ、私も知っています!〇〇のことですよね!先週ちょうど行ったんです。新商品で、すごく美味しくて!もう、最高でした!!!」と会話を奪ってしまう。こうなると、相手は、「へぇ・・・そうだったんですね、奇遇ですね・・・」くらいしか言えなくなり、黙ってしまいます。

話を整理しながら聴けていますか?

話を聴いているうちに、何を聴いているのか分からなくなる、というお悩みをよく聞きます。限られた時間の中で、正確に十分なヒアリングを行うには、話を整理しながら聴くことが重要です。一番聴かなくてはならないことを、「主題」と言いますが、話が飛んでしまう方は、この主題への意識が弱い可能性があります。意識を強めるためには、事前に主題を明確にし、何を聴かなければならないかを書き出しておきます。それをどのような順番で聴いていくか決め、どのように持っていくかの構成も考えておきましょう。

ヒアリングのタブーとは

ヒアリングを行う時のタブーというと、「思い込みや決めつけ」が最たるものです。これらがあると、視野が狭くなりますし、客観的な判断も厳しくなります。

 

また、自分に都合よく聞く、というのも避けたい行為の一つです。特に、日本語は、イエスかノーかはっきりしない言葉や、曖昧な表現も多いものです。「大丈夫です」「わかりました」等についても、誤解のないように注意しましょう。

 

更に、儀礼的に聞き流すというのも、ありがちなNG行為です。聞いているポーズだけとっていて、真剣に聴いていないということがあります。また、たとえ真剣に聴いていたとしても、「なるほどですね」「そうですか」「たしかに」等と軽い相槌を繰り返し使っていると、聞き流していると相手に誤解されかねないことも、覚えておいてください。

あいづち言葉の使い分け

皆さんは、あいづち言葉を使い分けているでしょうか?正しいタイミングで相槌を入れられると、ちゃんと聴いてくれるというプラスの印象を与えることができます。代表的な言葉の一例を記載します。

 

⑴同意するとき

「そうなのですね」「分かります」「さすがですね」等

 

⑵共感するとき

「大変でしたね」「よく我慢されましたね」「それは嬉しかったことでしょう」「ご心配でしたね」等

 

⑶話を促すとき

「その結果(その後)はどうなったのでしょうか?」「と、おっしゃいますと、具体的にもう少し教えてもらえませんか?」「それから、どうなりましたか?」

 

⑷整理するとき

「お話のポイントとしましては・・・〇〇と〇〇ということですね」「つまり、今回、〇〇様が最も気になっているのは、〇〇ということでお間違えないでしょうか?」

 

⑸話を転換したいとき

「ところで、〇〇についてなのですが・・・」「そういえば、今のお話で思い出したのですが・・・」「あっ、そうだ、今の〇〇と話は変わりますが・・・」等

ヒアリング時の注意点

ヒアリングをする時に、もう一つ注意したいことは、こちらの姿勢や表情、態度です。お客様に心を開いて気持ちよく話をしていただくには、非常に重要なポイントです。背筋を伸ばして座りましょう。声も出やすくなりますし、何と言っても相手をしっかりと見て観察いやすいです。次に、目の動きも重要です。目に落ち着きがないと、挙動不審なイメージを与えます。一方で、目力がありすぎるのも威圧的に見えることがありますので、「穏やかな眼差し」を心がけましょう。相手の目を見るのが苦手な方は、相手の左目を見るようにすると良いでしょう。

 

その他に気を付けたいのは、手を置く場所です。手に気持ちが表れるとも言われます。手について意識している人が意外と少ないからこそ、机の上に置き、指先も落ち着けて揃えておくのをオススメします。なお、肘をつくのは論外です。