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早期退職制度の活用によるセカンドキャリア構築は可能?

早期退職制度の活用によるセカンドキャリア構築は可能?

早期退職制度はなぜ増加している?

早期退職制度を活用することのメリットやリスクを正しく把握するためには、まずは前提として、早期退職制度の活用が
近年増加してきた経緯について知っておくことが大切です。

年功序列という仕組みを維持できない会社が多くなってきた

早期退職を募る企業が増加してきた理由の一つに、かつての日本的な会社経営のやり方が立ち行かなくなってきていることが挙
げられます。年功序列という人事考課の仕組みは、そこで働く従業員にとって「長く働き続ければ、所得や役職が向上する」
という希望をもたらすものでした。

こうした方法で企業への帰属意識を高め、一体感のあるチームを作っていくというのが、日本の伝統的な会社経営のあり方
だったのです。しかし年功序列という手法は、長期にわたって会社の成長が続くという前提が崩れると、維持することも
困難になりがちです。

将来への見通しが不確実であるという前提で考えれば、年功に基づいて序列が決まることは、若手社員にとって不満の
原因ともなりえるでしょう。こうした時代の変化に企業が適応すべく、早期退職制度が増加してきたといえるのです。

年功序列という仕組みを維持できない会社が多くなってきた

定年の延長に伴い、企業の負担が重くなってしまった

2006年の法改正に伴い、定年の年齢引き上げや、60歳以降の継続雇用などが法的義務として企業側に課せられるように
なりました。このような変化を受け、60歳以上のシニア層に対しマネージャーや若手育成といったかたちで活躍の場を
用意しようとする企業も多くなってきています。

しかし一方で、負担増加を回避するために早期退職を募る企業も増えてきました。以上のように、年功序列という仕組みの
維持が困難になったことや、定年の延長が原因となり早期退職制度の活用が増加していると考えられます。

早期退職制度利用のメリット:退職金や雇用保険で優遇されやすい

早期退職制度を利用して退職する場合、通常、退職金などの扱いで優遇されます。定年まで勤めた場合に比べて勤続年数が 足りていなくとも、退職金が満額支給されるといった優遇措置を受けられるのが一般的です。 また早期退職制度を利用して退職する場合、退職理由は原則として「会社都合退職」として扱われることになります。 従業員が退職する際の理由は、「自己都合退職」と「会社都合退職」に大別されますが、会社側の早期退職の希望者募集 に応じて退職した場合は、自己都合という扱いにはなりません。 退職理由が自己都合ではなく会社都合となれば、雇用保険に基づいて支給される失業給付などでも、有利な扱いを受けやすく なります。また会社都合退職は、退職理由の説明に説得力を持たせやすいこともあり、転職時の面接でも退職が不利に働き にくいというメリットがあります。

早期退職制度利用のリスク:将来設計を自力で進める必要がある

一方、早期退職制度を利用するリスクは、その後のキャリアをすぐに構築できるかはわからないことでしょう。 これまでの企業で雇用されていた状態と異なり、身につけてきたスキルや経験をどのように生かし、どのような仕事に 取り組み、どうやって収入を得るのかなどについて、自分で計画を練っておくことが大切になります。 また、退職時に、保険や年金の切り替えが発生する点は見落としやすいため、充分注意しましょう。特に、これまで企業に 勤めていた人の場合、社会保険から国民保険に切り替わるので、保険料や年金の支払いを今後は自分で行う必要があります。 これらを織り込んだうえで生活設計を考えていく必要があるでしょう。

早期退職後のセカンドキャリアはどう構築する?

実際に早期退職制度を活用し退職する場合、その後は独立し自営業者のようなかたちで仕事を続けるか、あるいは中途採用枠 などで他の企業に転職したりするのが一般的です。転職活動に臨む際は、これまでの社会人生活の中で得たスキルや実績・経験 をアピールし、年齢のハンデを上回ることが大切となります。 また、民間企業や厚生労働省・ハローワークなどの官庁が実施する、セカンドキャリアの支援制度を活用することも選択肢 の一つとなるでしょう。特に未経験の職種に新たに挑戦したいと考えている場合には、こうしたプログラムに参加することの メリットは大きいと考えられます。

おわりに

早期退職は、その後の人生設計にも影響を及ぼす大きな決断となります。しかし、早期退職制度を利用して退職した場合、 退職金が満額支給されたり雇用保険に基づき支給される失業給付でも優遇されやすくなるメリットがあります。 一方で、保険や年金を自分で支払う必要があり、セカンドキャリアについても【自身で構築するリスク】を負うことになり ます。実際に早期退職をすべきかどうかについては、メリットとリスクの双方をよく見極めたうえで判断することが大切 になるでしょう。