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新入社員研修の目的とは?

2022.02.22

自社の今後の成長のカギは、新入社員にあると言っても過言ではありません。そんな宝の人材である新人の皆さんを育てる第一歩として大事なのが、「新入社員研修」。その目的について、今一度ポイントを押さえていきましょう。

そもそも新入社員研修には、どのような目的があるの?

新入社員研修とは

新入社員研修は、企業の人材育成方針に従い、自社で今後活躍するであろう社員を育成する、最初の場です。新入社員には企業の事業内容を理解するだけでなく、仕事を遂行するために必要な知識やスキルを習得することが求められます。一日も早く会社や職場に慣れ、戦力となり活躍してもらいたいと期待されている存在であるからです。

新入社員研修の目的とは

⑴企業理念・ビジョンの浸透

企業理念・ビジョンの浸透は、自社で働く上で必要不可欠なものです。企業理念とは、企業の考え方や価値観、行動基準のことを指します。ビジョンとは、企業が実現したいと考えている未来の姿。これらが非常に重要であることは、言うまでもないでしょう。

アメリカの経営学者チェスター・バーナードが提唱した、「組織成立の三要素」をご存じでしょうか?組織には、①共通の目的、②貢献意欲、③コミュニケーションの3つから成立するものです。このどれか一つが欠けると組織不全になると定義しています。

この、①共通の目的というのは、「共通目標達成のため」と言い換えることもできます。一緒に働いているとしても、共通の目標がなければ、システムの歯車に過ぎません。

⑵事業内容や商品・サービス・技術の理解

先ほどの、「組織成立の三要素」の②「貢献意欲」を発揮するためにも、自社の事業内容を知る必要があります。自社は、どのような沿革・経緯で世の中に受け入れられてきたのか、自社のお客様はどこのどのようなニーズを抱えている人や企業なのか、これまでどのような困難を乗り越えてきたのかといった観点からも知っておくことで、自社への愛着や愛社精神を醸成することができます。また、自社へのエンゲージメントが高まるといったことも看過できません。さらに、もし、新入社員がコールセンター業務や営業業務等、対外的な業務を行う場合、商品やサービス、技術への理解ができていないと、説明すらおぼつかないことになりかねません。自社の商品等に自信が持てず、成果にも結び付きにくくなる、といったケースに暗転することもあるかもしれません。

⑶学生から社会人へのマインドの切り替え

学生から社会人へは、「入社式」等を経て、環境変化の実感が湧く場合もあるでしょう。一方で昨今の社会情勢を鑑みた場合、オンラインによる入社式となると、自宅でスーツを着用し、ZOOM等でという形式もあるようです。この場合は、実感が湧きにくいということもあるかもしれません。

いずれにせよ、実感の有無だけでは、マインドの切り替えがうまくいかないもの。学生時代に通用してきた考え方や、行動パターンでは社会に通用しないということもあり得ます。例えば、アルバイト経験においては、社員や上司から指示された業務を時間の決められた時間や業務の範囲内で行えば、十分に評価されたケースがあると思います。

一方で、社員の立場になれば、どの業務をアルバイトスタッフに任せるのか、時間効率はどのくらいを求めればよいか、効率が悪い場合はどのように改善するのか、等の業務も入ってくることでしょう。また、お客様からのクレーム対応に関しても、立場が変われば対応方法も変わってくることでしょう。さらに、店長にもなると、今後は、社員だけでなくアルバイトスタッフも含めて、採用から教育、マネジメントと業務は多岐に渡ります。

いずれ、このような責任のある業務についてもらうためにも、最初の一歩が肝心と言えます。

特に、近頃は、採用面接がオンライン、内定式もオンライン、新入社員研修もオンライン・・・とオンライン尽くしの場合もあります。オンラインで行うメリットももちろん多いため、オンラインを選択する場合もありますが、この場合、大学のオンライン授業との差が小さく、なかなか社会人としてのマインドセットをしにくい、という状況も出てきています。そこで、全てをオンラインにするのではなく、一部は集合型(対面型)にするというハイブリッドでの研修なども登場していきています。

⑷同期とのつながり、社内人脈の形成

働く上では、自分の思い通りになることや、自己都合で物事が進んでいくということは少ないのではないでしょうか。壁にぶつかったり、悩んだりということもあるかもしれません。そんな時に、家族や既知の友人に相談するのも解決方法の一つではありますが、職場のことをよく知る同期の存在というのは、ありがたいものです。モチベーションの維持にも繋がりますし、「同じ釜の飯を食った」仲間というのは、心強いものです。研修という場を通じて、こういった関係を作ることができます。

特に、研修においてちょっとした体験をした場合には、数年経ったとしても、「あの新人研修の時の・・・」と話が盛り上がり、初心を思い出すこともできます。また、研修を運営する人事や総務の担当者とのやりとりがあることで、社内人脈を広げることもできます。先輩社員との良好な人間関係ができていれば、困ったときに味方になってくれたり、励ましてくれたりと、安心感につながります。

⑸社内ルールの理解と徹底

社内のルールは、文書を見ただけでは理解しにくい、または誤解しやすいというものもあります。特に、日常業務を担当したことがない新入社員からすると、未知の情報であり、「分かるだろう」として進めると、後々トラブルに発展することもあります。だからこそ、新入社員におかれては、研修という場で理解度を確認しながら、「なぜそのルールが必要なのか」という点を伝えていくことが求められます。

特に、今はSNSを使って個人が情報を発信しやすい時代でもあります。発信の仕方や内容を間違うと、新入社員個人のみならず、企業にも多大な損害を与えかねません。

また、社内ルールを、学生時代の校則程度と軽く考える場合も想定して、分かりやすく指導することも重要です。昨今は、ハラスメントと言われるのを恐れ、現場ではなかなか指導しにくいという話も聞こえてくるのではないでしょうか?だからこそ、最初が肝心!社内ルールを守らないことでの価値損失については、実際の例などを活用して伝えることも必要でしょう。

新入社員研修で実施する主なカリキュラムとは

ビジネスマナー研修

それまでのアルバイト経験、家庭や学校でのしつけによって、マナーはある程度知っていると認識している新入社員は多いものです。一方で、会社においては、それらのマナーだけでは不十分な場合があります。

最も分かりやすい例でいくと、「挨拶」です。私どもにおいても、多くの新入社員研修を担当させていただく中で感じることとして、入社早々の時期であっても、「礼儀正しく、しかも元気良く若者らしい挨拶をしているなぁ」と感じる方が、全体の1割もいない、ということです。ハキハキと元気よく声を出すこと、でさえも本人の「できている」という自覚と、周りからの「できている」という認識に大きな差があるのです。

また、最近は固定電話をかける、電話を受けるという経験をしたことがない方も増えています。家庭においても、スマートフォンしか電話がないということもあるからです。そのような場合、「固定電話では、このように受話器を・・・」という説明だけでは、想像の中ででしかシミュレーションできず、実際の職場では電話を取ることを躊躇してしまう、ということも起こるのです。そのため、説明だけで終わるのではなく、実際にトレーニングや繰り返しの練習を取り入れることが重要です。

<主な内容>

・社会人と学生の違いとは?

・基本動作~好印象を与える挨拶

・発声練習

・名刺交換の仕方

・敬語について

・ビジネスに相応しくない言葉遣いとは?

・席次の基本的な考え方

・電話応対について

・ビジネスEメールの書き方

・ビジネスコミュニケーション(報告、連絡、相談)

コミュニケーション研修

社会人になると、学生時代とは人間関係を結ぶ範囲が格段に広がります。社外の人間関係はもちろんのこと、社内でも、上司や先輩、同僚と関係を構築していかなければなりません。受け身や待ちの姿勢では、円滑なコミュニケーションができないこともしばしばではないでしょうか。また、プライベートのコミュニケーションと、業務でのコミュニケーションの違いを認識できていないと、無用なトラブルを起こしてしまうことにも繋がりかねません。

人間関係をうまく結べない方の特徴として、他人に自分から話しかけるという経験の少なさが見られます。経験が少ないからこそ、“どんな反応かわからないから、怖い”“相手に無視されたらどうしよう”“話題が見つけられない”等の感情が先に立ち、行動をブロックします。更には、ここ数年の社会環境によって、年齢が離れた方と話したことがないという点も考慮し、対策を考える必要があります。

それは、過保護なのではないか、とお考えの方がいるかもしれませんが、年が離れた人と話すことについても、練習が欠かせない時代になってきたとも言えます。特に、新入社員の皆さんのZ世代は、このような対面での人間関係を結ぶ方法を学ぶ機会に恵まれず、そもそも知らないからできないだけなのです。

特に顕著なのが、“世間話や雑談をせよ”と言われて、困惑する方も多いです。昔であれば、テレビ等の共通する話題も見つけやすかったのかもしれませんが、近頃では、テレビを観る世代と観ない世代に分かれているとも言われます。YoutubeやTikTok、Netflix等で動画を観る人も増えています。そのため、なかなか共通する話題を見つけるのにも一苦労・・・して当然なのかもしれません。それを「けしからん」といった見方をしてしまっては、新入社員の成長の芽を摘んでしまいかねません。知らないことは教えれば良い、と考え方を切り替えることが重要です。

企業理念・経営方針に関する研修

入社してから是非行いたいのが、一線で活躍している先輩社員からの話を聞くことです。どのような話がオススメかと言うと、「職場では、新入社員に何を期待しているのか?」「ビジネスパーソンとして信頼されるために必要なこと」「働くことで得られる価値や、社会的な意義について」等です。企業理念・経営方針・経営ビジョンをただ聞く、ただ知るだけではなく、それを実践していくと、自分がどうなるのか、どのようになれるのかを具体的に考えることができるようになります。そうすることで、自分自身がすべき行動や学習にたいして、やりがいやモチベ―ションを高く持ち、挑戦し、成長する社員になることができるのです。

業務に必要な実務能力を向上させる研修

この研修を実施することで、実践的なスキルを身につけ、新入社員が現場で即戦力となれることを目指します。そのため、担当業務や配属先によって、内容は大きく異なります。必要なスキルを洗い出し、習得に必要な期間から逆算して、研修を実施するのがよいでしょう。特に、集合研修だけではなく、個別の日常でのOJTフォローも欠かせません。

また、最近はスマートフォンで何でも簡潔しがちです。そのため、PC操作について、学ぶ場を提供する必要があります。ましてやFAXについては、触ったこともないということも・・・。

手書き文章を書く、ということはほとんどなくなったかもしれませんが、デジタルネイティブ世代においては、“辞書で言葉を調べる”という習慣がない場合もあります。上司世代と認識が異なる場合には、言葉の定義の認識を揃えてから指導することが必要になることも織り込んでおくとよいでしょう。

コンプライアンスに関する研修

コンプライアンスを順守するのが、企業で働く上では必要不可欠です。それまでの経験や知識では知らないこともあるでしょう。更には、日常生活では問題なくても、コンプライアンスの観点では問題になるということもあるかもしれません。そのため、具体的に理解できるよう、コンプライアンスに関する研修実施は重要です。

特に、昨今ではTwitterやInstagram等、SNSを使うことに慣れている世代だからこそ、悪気なく拡散してしまった・・・ということもあるそうです。そのため、これらのSNSの使い方等も具体的に、どこまでが良くて、どこまでがダメなのかを明確に伝える必要があります。著作権や肖像権といった知的財産や、個人情報保護に関する事柄等、法務知識についても学ぶことが重要でしょう。

現場ローテーション研修

実際の配属前に、現場の様々な部署を体験してもらう研修全般を指します。学生時代に想像していた自社の企業像は、会社のほんの一部ということもあり得ます。そのため、まずは全体像を把握するため、実際の配属先ではない、他部署を数日~1週間程度の短い期間で体験をしてもらいます。そうすることで、今まで気づかなかった自社の価値はもちろんのこと自分自身の社会人としての心構えにも変化が出てきます。

また、色々な部署を経験することで、人間関係構築の上での強みや弱みを発見できれば、その後の会社生活においても、問題を解消し、先に進めやすくなることでしょう。

また、受け入れ先の部署においても、新人に分かりやすく説明を行うという場面が用意されることで、新たな刺激が与えられることは間違いありません。

新入社員研修を外部依頼すると、どのようなメリット・デメリットがあるか

新入社員研修を外部依頼する際のメリット

⑴プロフェッショナルな講師から学ぶことができます

人事担当の皆さんが、研修において講師として登壇するというのは、よく聞きます。

もちろん、社内の方だからこそ、共通言語があり、一から十まですべて説明せずとも話が通じたり、会社「あるある」が理解し合えるという利点があります。更には、研修のコンテンツの組み立てにも工夫をこらし、受講生が飽きないように配慮をしているのは間違いないでしょう。一方で、実は講師業は“職人”技が必要だと感じる場面はないでしょうか?コンテンツは充実しているし、セオリー通りに行っているのに、なぜか受講生の満足度が高くない・・・。オンライン研修であれ、対面研修であれ、講師として登壇するには、“デリバリースキル”が欠かせないのです。そのため、スキルを十分に身につけていないと、せっかくの研修の効果が満足に得られないということになりかねません。

また、当社にもご相談いただく内容ですが、社内講師とプロの講師では、“徹底度”が違うというのをよく耳にします。もちろん、カリキュラムそのものにも違いがあるかもしれませんが、プロの講師は“スキルを教える職人”とも言えるでしょう。そのため、重要なポイントの伝え方や、実践トレーニングのさせ方、課題の与え方等にも工夫をし、最適な研修サービスを提供しているのです。

⑵社内にはない知見やノウハウ、知識に触れ、学ぶことができます

厳しい言い方かもしれませんが、“社内の常識が世間の非常識“等と言われたことはありませんか?社内では通じても、いつの間にか”井の中の蛙“になっているということはないでしょうか?それを知るためにも、外部の研修サービス会社や講師に研修を依頼することは良い機会と言えるでしょう。

外部の研修サービスを利用する時には、ネットはもとより、まとめ記事等もチェックし、費用対効果を総合的に勘案し、利用する研修サービス会社を絞りこんでいることでしょう。そうして、ある程度の見込みができた後は、是非とも実際の研修講師と触れ合う機会を持ってみましょう。その講師の人としての数多くの経験や考え方を知ることで、自社の新人研修に活用することのメリットを見出すことができます。

⑶社内担当者の負担が軽減されます

半日研修、一日研修といえ、研修には事前の入念な準備がいります。特に、普段から講師登壇をしていない場合は、“デリバリースキル”を発揮するために、綿密な台本作り等も欠かせません。人事部門の皆さんの年間スケジュールからすると、人事異動の時期、翌年の採用活用も始まっている等、特に新入社員研修の時期は業務過多になりやすい時期とも言えます。それを、外注することで、減らすことが可能になります。

“餅は餅屋”という言葉が昔からあるように、それぞれの得意分野を活かすことで、最適な労働量の配分が実現し、最大限の効果も見込めます。マルチタスクで行うという考え方もありますが、改善の4原則でもある「ECRSの原則」の通り、なくせないか、一緒にできないか、順序を変更できないか、簡素化できないかで考えた場合、まさに新人研修を社内で賄うのではなく、「外注化する」という選択肢は合理的であると言えるでしょう。

新入社員研修を外部依頼する際のデメリット

⑴コスト

社内の人間が行うのに比べ、外部研修会社の講師料は額面だけを見れば、決して安くはありません。そのため、費用対効果をしっかりと検証していくことが重要です。少しでも不満な部分があれば、外部研修会社へ申し入れ、改善を求めましょう。その時の対応の良し悪し、という点も、外部研修会社を選択するポイントの一つと言えるでしょう。

また、その際の説明がしっかりとなされているか、自社の事業に役立つ内容を提供してくれるのか、考え方に極端な偏りがないか等も含めて確認をしましょう。

⑵社内の理念や独自の考え方が伝わりにくい

機密事項でない限り、伝えて欲しいことは、“言わなくても分かるだろう”ではなく、伝えることをオススメします。もちろん、外部研修会社によっては、細かな部分は対応できかねる、と言われる場合もあり得ますが、要望はきちんと伝えましょう。その上で、どこまでなら外部の研修会社が可能なのかを見極め、不足する部分は、自社で補うことが重要です。

また、自社の社員としての心構えといった点も、しっかりと伝えながら進めるよう、要望は明確に伝えましょう。

⑶社内に研修講師としてのノウハウや知見が蓄積されない

これについては、研修を委託したから、すべてお任せではなく、見学をすることをオススメします。研修講師がどのような進行をしているのか、どのような説明をすると新入社員が腑に落ちた表情になるのかを観察するのに、格好のチャンスです。また、受講する立場の新入社員からしても、自社の社員がその場にいてくれることは、大きな安心に繋がります。

また、研修担当者が研修を見学する時間が取れない場合は、新入社員を受け入れ部署の先輩や上司が見学する、というのも一つの選択肢です。

集合または、オンライン研修でどのようなことを習ってきたのかを把握していると、職場に配属された後の指導に役立つのは間違いありません。

まとめ

企業は、新入社員研修を行うことで、新入社員の皆さんに一日でも早く会社や職場に慣れ、仕事を覚え、戦力になってもらいたいと思っています。一方で、新入社員の皆さんには、それを負担に思うのではなく、一日でも早く活躍のフィールドが広がるんだとワクワクして、挑戦していただきたいと思います。

また、企業におかれては、新入社員の皆さんが安心して、知識やスキルを習得でき、円滑な人間関係を構築できるよう、惜しみないバックアップ体制を整え、自社の将来を担う人材を迎え入れて欲しいと願います。

だからこそ、無限の可能性を持つ新入社員の皆さんに対して、期待を持ち、日々の指導に励んでいただきたいのです。色々な体験を通じて、人として成長するのを楽しみに、新入社員の皆さんだけでなく、上司や先輩の皆さんも共に成長していきましょう。

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