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営業研修で身に付けておきたい「営業の礎とは」

2022.06.14

営業パーソンとして学ぶべきことは多くあります。第一印象から商品説明、そして切り返しトーク、クロージング。これだけではなく「どうしたらお客様と人間関係を構築できるか」などコミュニケーション能力も含みます。その中でも、今日は「営業として成果を出すための礎」について話を進めていきます。

成果が出せる営業パーソンになるための「考え方」とは

ある2人の営業パーソンがアフリカに靴を売るために現地に行ったときの話をご紹介します。有名な話なので、すでに「知っている」という方もいらっしゃるとは思いますが、ぜひもう一度読んでみてください。

『現地を見て驚いたのは、アフリカ人には靴を履く習慣が無いこと。みんな「裸足」で生活しています。それを見たひとりの営業マンは、会社の上司にこのように報告しました。「アフリカ人は靴を履いていないので市場はありません…」しかし、もう一人の営業マンは違う報告をしました。「アフリカ人は誰も靴を履いていないので市場は無限大です!」』目に入った状況が同じでも、考え方ひとつで「売れる人」と「売れない人」に分かれます。そして「成功する人」と「失敗して終わる人」にも分かれます。そこで「営業としての考え方」について理解する必要であるのではないでしょうか。

営業としての基本的な考え方は、

1.自社の商品を購入、使用することで「どんなメリットがあるか」「その商品がないことでどんなことがデメリットになるのか」を顧客自身が比較できるよう気付かせてあげる
2.その商品を購入、使用することで「どれだけ幸福になるか」「どれだけ安心か」「どれだけ安全か」を顧客自身が気付き、購入を決意できるようにしてあげる
3.「売る」ことを第一の目的とせず、「自社の商品を顧客が購入することでどんなメリットがあるか」そのメリットの数を多く挙げて顧客に伝えることができる
4.顧客の幸せを満たすことを目的とした商品説明ができる

ということが挙げられます。

「自分のために契約を取りたい」がむき出しになっていませんか

「いやぁ、実は今月は数字が厳しくて・・・。ぜひともご契約を今月中にいただきたく新商品のご紹介にお伺いしました」これでは、営業としての自分の成績のために「契約してください」という「お願い営業スタイル」になってしまいます。

売れている営業パーソンは、顧客に対してこのようにして契約へアプローチする特徴があります。「今、お使いの〇〇でお困りになったこと、不便だと感じられたことはありませんか?」「そうですよね。それは大変ですよね。実は〇〇様が、今おっしゃったことが解決できる新商品が出ましたので、少しでも早くご紹介したいと思いまして、本日お伺いしました」

相手が今抱えているデメリットを引き出し、自社の商品を使うメリットをしっかり相手が理解できるよう、また顧客自身が気付くことができるように商品の説明をすることが成果を出す上で重要です。

第一印象を疎かにしていませんか?初対面は1分が勝負

営業パーソンとして「第一印象が重要」なことは、皆さんもご存知かと思います。実は、営業研修で第一印象について学び直すと、意外にも「出来ているつもりだった」という方が多いのです。

よい第一印象の定義としては

1.清潔感がある
2.元気でハツラツとしている
3.礼儀正しい

ことが挙げられますが、「出来ているつもり」でも、顧客から見たら中途半端な第一印象だと思われていることもあるのです。暗くもなく、横着さもない、失礼でもない、でも飛びぬけた感じのよさや元気よさ、礼儀正しさは感じない=普通の営業パーソンなのです。営業職において「第一印象」は、そのあとの商品説明に繋げるための大切な武器なのです。

営業活動に必要なスキル「人と人の結びつきを強くする」

まず必要なことは、相手が「どれほど有能か」というよりも「どのくらい心が温かいか」を知ろうとすることが、プリンストン大学のアレクサンダートドロフ教授によって調査されました。その調査によると相手が心の温かい人かどうかの判断を下すのに要する時間は、わずか「33秒」という短さであることが分かりました。

では、なにを実践できていれば「心の温かい人」と相手は判断するのでしょうか。ここでは4つの判断材料をご紹介します。

温かい人は「笑顔」を絶やさない

子供の無邪気な笑顔をみていると、こちらまで笑顔になるという経験はありませんか。実は、子供は平均して1日に400回くらい笑うと言われています。しかし大人になるとその回数は激減し、笑う回数が1日に20回を超える大人は全体の30%ほどになるそうです。笑うことは自分だけでなく、周囲にいるすべての人に影響を与えます。何も言わなくても、笑っているだけで、人を安心させ、親近感も抱かせます。そして何より人を元気づけます。

相手を尊重する

相手の存在を認め、尊重することを意識して実践することです。コンサルティング会社のタワーズワトソンが実施した調査によると、社員の仕事へのやる気を最も大きく左右するのは、上層部の姿勢だということが分かりました。たとえ、相手が自分よりも年齢が若く経験が浅くても、やはりその存在を認め、尊重することが求められているということです。

人の話に耳を傾ける

なぜ人の話に耳を傾けることが大切なのかというと、皆さんもすでにご存知の通り、人の話をよく聞くことは人間関係を築き、維持し、深める上で絶対に必要なことです。相手の話を熱心に聞けば、その人のことを気にかけ、大事にしていること、人間関係を保ちたいと思っていることが伝わります。今一度、話の「聞き方」を振り返ってみませんか。

・相手がまだ話しているのに、遮って自分が話し始めてしまう

・相手の話を聞くよりも自分のことを話して優位に立とうとする

・相手の話に割り込んで、求められていない助言をしてしまう

上記のようなことはありませんか。

聞く力をあげる

具体的にどのようにして相手の話を「聞く力」をあげることができるのでしょうか。答えは至ってシンプルです。「話を聞く体勢を整えておく」ことです。営業であれば、お客様のところに行くときには、

・相手に質問、ヒアリングすることは事前に用意しておく

・話題にする内容もあらかじめ考えておく

・ただただ相手の言葉を聞いているだけではなく、営業としてお客様のどこに共感できて、どの部分を助言できるのかを見極めながら聞き、課題解決のための提案ができるようにする

当たり前のことではありますが、出来ているようで出来ていないということはないでしょうか。人間は、自分の話を聞いてくれて、自分に関心を持ってくれ、自分を理解してくれる人と関係を築きたいと思うものです。そのことを常に忘れずに、営業とお客様という関係以前に、「人と人」であるという意識を忘れずにいることが、営業力を高める上での大切なポイントです。

顧客との人間関係の構築

商品の説明を始める前に、まずは相手の警戒心が解かれた状態を作らなければいけません。理由は、営業パーソンが自分自身を売り込めていないのに、商品を売ろうとすることは「物売り」になってしまい、簡単に断られてしまう流れになってしまうからです。

顧客との人間関係を構築するためのファーストステップとして

1.ラポール(相手との信頼関係)を取っているか
2.相手の好きなもの、興味のあることに対して会話しているか
3.玄関先のしつらえなどを観察して、褒めているか

顧客との人間関係の構築のために、見たもの、聞こえたものすべてに敏感になる必要があります。

営業職にとっての「人間関係」とは?

営業パーソンにとって「人間関係を構築するのが得意」ということは、どういうことなのでしょうか。

「自分自身にとって居心地がよく、人との争いや理不尽な要求もない環境つくり、コミュニケーション力」ではないのです。

売上を向上させることができる営業力の高く、コミュニケーション力の高い営業パーソンは、社内においても信用、信頼があり、上司への報告、連絡、相談ができる、また部下や新人指導、人材育成ができ、さらには会社外からも信頼される存在なのです。営業パーソンに求められる「人間関係」とは、あくまでも仕事の目的として「売上の向上」と繋がっているのです。どんなに「人と関わることが好き」であっても、仕事とプライベートでの人間関係は求められる内容が別であることは、すでに皆さんもお気づきかと思います。仕事上の人間関係とは、自分とは気が合わない人、苦手な人とも関わっていかなければいけません。理不尽な要求をされて、嫌な思い、悔しい思いをすることもあるのです。

顧客との「人間関係」を構築する上で避けたいこと

(1) EメールやLINEなどSNSを活用した「対応のみ」になっている

現在では、スマートフォンひとつあれば顧客へメールやSNSを活用して連絡をすることが可能となりました。上手く営業活動にSNSなどのツールを活用すれば、移動中にメッセージを送るなどの時間の有効活用になることは間違いないでしょう。だからと言って、メールやSNSなどのツールは便利である反面、直接顧客に会わないため、表情が見えず、声も聞くことができないために、顧客の反応や感情を掴むことが困難なのです。営業パーソンとして「コミュニケーションがとれているつもり」になってしまうことも懸念されます。

メールやSNSなどのツールと併せて、ZOOMなどのWeb会議システムを利用することにより、顧客の反応や表情が分かるため正しく顧客のニーズをヒアリング、課題解決のヒントを得るなどのメリットもあります。

礼節のあるメール作法を身につける

「人間の心はテクノロジーより優先されなくてはならない」(アルバートアインシュタイン)

オンラインでお客様と連絡をとる際にも、礼儀礼節を実践したコミュニケーションを意識していますか。メールを書くときには、相手が受け取るのは書かれた文字だけである、ということに注意します。このことを常に意識していれば、一度のメールで相手に届く感情は、ひとつ、ふたつということになることに気づくはずです。

声やボディランゲージが届かないメールでのコミュニケーションは、伝えたいことが思い通りに伝わっていなかったり、伝えたいことが誤解されて受け取られる、という危険性があることに配慮する必要があります。

また、メールを読んでもらうのは、それだけ受け取り手の時間を奪うということも知っておく必要があります。

「相手目線」のメールを書くために気を付けたいこと

⑴ 件名は、短く、内容がひと目で分かる

⑵ CCは、必要最低限の人だけにとどめる

⑶ 内容は、書いた内容に確信できないときは、一旦保存してあとで見直してから送信する

⑷ 時間を置くと違う視点から見ることができる

⑸ メールに返信する前には、もらったメールの文面をよく読む。名前はフルネーム、役職、連絡先などを含む署名ブロックをつける

⑹ 宛先に複数の名前を入れる場合には、順序に注意する

※職位の高い順に並べることもあれば、用件に関わり深い順、用件に対する責任の大きさの順に並べることもある

⑺ 謝罪のメールを送る場合には、本当にメールが最良の方法であるのかよく考えること。メールで謝罪したとしても、すぐにそのあとに直接会って、再び謝罪をするなどの方法も考慮すること

上記はどれも簡単なことではありますが、時間と心に余裕がないときにでも忘れないように気をつけましょう。

「お願いメール」を送るときに気を付けたいこと

⑴ 依頼文は短く直接的に

⑵ 誰に何をいつしてもらいたいかを明確にする

⑶ メール受信者にすぐに判断を求める場合は、件名で内容が明確に分かるようにする

⑷ 直接会って話をしたい場合は、相手が会う時間を自由に選べるように選択肢を用意すること。勝手に特定の時間を指定しない

「いかがですか」と聞けば顧客は断りやすいことを知る

ひと通りの商品の説明が終わり、よく耳にする言葉「〇〇様、いかがでしょうか?」この言葉を使っていませんか?実は「いかがでしょうか?」は、相手が断りやすくなる言葉なのです。よくある断り文句として「検討します」「主人に相談します」「お金がない」「他の会社も見たい」などです。「いかがでしょうか?」は、顧客の断り文句を引き出す確率が高くなってしまいます。では、商品説明が終わったあとはどのような流れで会話すると効果的なのでしょうか。それは、顧客に購入意思があるかどうかを確認するのです。本番クロージングの前段階としてテストでクロージングをしてみるのです。「参考までにお伺いしたいのですが、〇〇様は、以前に同じような商品をほしいと思われたことはありますか?」などと投げかけて購入の意思を確認します。

コツとしては、「クッション言葉」を使うことです。具体的な例としては、

・参考までに

・失礼ですが

・今後のご提案の参考のために

などがあります。

「いかがですか?」と聞くことにより、会話の主導権がお客様に全面的に移ってしまうのです。もしかすると、「御社の商品、サービスを気に入っているよ」とおっしゃっていたお客様が、「いかがですか?」と聞かれた途端に「うーん、そうだね・・・」と考えはじめて、一転ネガティブなこと言い出すことにもなりかねないのです。事例として、クロージングにおいて営業パーソンが「いかがですか?」と聞いたことにより、お客様が「このサービスには〇〇はついてないの?」と言い始めてしまい、クロージングにおいてお客様の不安要素がどんどん出てきてしまい、ヒアリング、プレゼンテーションを再度行うことになり、課題解決のために契約まで時間がかかってしまった、ということもあります。「いかがですか?」と聞くことは「この商品、弊社のサービスについて。気になる点をぜひ教えてください」と言っているようなものなのです。

営業パーソンとして「信頼される人」になるための行動とは

営業パーソンとして顧客から「あいつはいい加減だ」と言われてしまう人と、「あの人だったら任せたい」と言われる人とでは、行動に大きな違いがあります。それは「ブレる人」と「ブレない人」の行動パターンに分かれるのです。具体的に行動パターンを下記に挙げてみました。

ブレる人の行動パターン

その時々で理由があるにしても、「信用できない」「無責任だ」「調子が良い」「仕事を任せられない」「大丈夫だろうか」という印象を与えてしまう行動パターンです。

・その場しのぎの受け答えをする

・安請け負いをする

・その時々で発言が変わる

・言行不一致(言っていることとやっていることが違う)

・人によって態度が変わる

・自分の言ったことを覚えていない

・できないことを「できない」とハッキリ言えない

・人の顔色を気にする

・できもしないことを「ハイハイ」と返事してしまう

・約束を守れない

・小さな声で、モゴモゴと話す

・言い訳が多い

・「〇〇だから」「〇〇なのに」「でも・・・」と言うことが多い

ブレない人の行動パターン

多くの人が「信用できる人だ」「リーダーシップがある」「応援したくなる」「仕事を任せたい」を感じる行動パターンです。

・人によって態度を変えない

・1度決めたことは、徹底して行なう

・発言や行動に一貫性がある

・「ノー」と言える

・周りに何を言われても、最終的には自分の判断・決断で動く

・上手くいかなかったとしてもすべて自己責任ととらえる

・負けず嫌いで決めたことはやる

・いつでも何時でも「本気」

・逃げない姿勢を持っている

・あきらめないで根気よくやる

・大きな声でハキハキと話す

・中途半端が大嫌い

・「いつでも正々堂々」が信条

・ウソをつかない

・言い訳をしない

「ブレる人」が、自分のその時々の気持ち本位で行動しているのに対して、ブレない人は、相手主体、相手本位に行動していると言えます。

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