1.オンライン研修とは?
外的要因による影響は否めませんが、私たちの働き方は、この数年で大きく変わってきました。テレワークや時差通勤等も広がり、働く場所や時間の制約が減少したため、住む場所や住み方の選択肢が増加しました。更には、ライフスタイルに合わせて、柔軟に働き方を選べるようになってきました。
これらの労働環境変化に伴い、企業の採用活動もSNSや動画、また面接はすべてオンライン、といったことも一般的になってきました。JOB型採用といった言葉も耳にするようになりました。こうした背景によって、人材育成の手段や方法も変化しつつあります。特に、研修体系や研修方法については、大幅に見直さないとならないというお声も良く聞きます。注目株は、「オンラインによる研修」の導入です。特に、新入社員向けの研修であれば、オンラインのみでの研修のみならず、オンライン研修とこれまでの研修のハイブリッド型といった選択肢も増えました。
オンライン研修とは、インターネットを通じて受講するスタイルの研修全般を指します。 PC、タブレット、スマホといった情報通信機器の進化と普及、そしてIT技術の発展により、現在ではオンラインでの特徴を活かしながら、画面越しでもインタラクティブな研修を実施することが可能となりました。
また、「巣ごもり需要が増えた」という話題をよく耳にしますが、通勤時間が削減されたことによって、個人の方が自ら学ぶシーンも増加しています。eラーニングを活用したものから、スマホでの動画視聴、また細切れ時間を活用したオンライン研修等と選べるコンテンツが増えてきています。更には、無料コンテンツも巷にはあふれ、学ぶ側も取捨選択が求められるようになりました。
1-1.オンライン研修のメリットとは?
オンライン研修のメリットには、どのようなものがあるでしょうか。主なものは、以下の通りです。
・研修会場を事前に確保しなくてよい
・研修会場を借りる費用が掛からない(特に、今時は、広い会場の確保が必須)
・交通費や宿泊費などの費用がかからない(一か所に集めなくてよいため)
・人が集まらないため、感染症のリスクは低い(遠方の講師であっても、遠慮なく依頼できます!)
・(一日研修の場合)昼食の手配をしなくてよい
・人事などの研修担当者が、会場前方でマイクを持ち、司会進行をしなくてよい
・一度に同じだけ、情報を伝えることができる
・着席場所などに関係なく、参加者全員の顔を見ることができる
1-2.オンライン研修のデメリットとは?
デメリットも考察してみましょう。
・wi-fiや、PC等の受講環境を整える必要がある(導入費用も発生する)
・同じ会議室で受講する場合は、ハウリングを起こす可能性があるため、ヘッドセットマイクを用意する
・受講場所によって、背景が映りこまないように配慮する必要がある
・ミュート操作などを覚えておかないとならない
・タブレットやスマホ受講の場合は、PCと操作に制限されることを理解しておく
・長時間の研修の場合、バッテリー切れを起こす可能性があることを理解し、準備しておく
1-3.オンライン研修を行う時に知っておきたい機能7選
オンライン研修においては、利用するシステムによっても異なるものはありますが、以下のような方法を取り入れることができます。
1-3-1.チャット機能
受講生がメッセージを書きこむ方法です。質問に対し、オープンな回答を短時間で集めるのに適しています。文章を打ち込むので、自由な意見を集めやすいです。なお、書き込みを禁止する設定を行うことができる場合もあります。
1-3-2.少人数に分かれての意見交換・ディスカッション
通常の会議同様に、大勢の前では発言しにくいというのはオンラインでも同じです。そのため、2人~6人程度など、少人数に分かれてオンライン上で会話をすることができます。注意点としては、新入社員の皆さん等の場合、議事進行がうまくできず、雑談に終わってしまう、論点が曖昧になってしまうというケースがあります。
また、ベテランの方が集まるケースなどでは、一人だけが長時間話してしまう等、時間管理が難しいケースが見受けられます。 対策としては、ファシリテーター要員を確保しておく、論点を絞りぶれないようにする、時間管理の方法を具体的に伝えておく、講師等が少人数のルームを巡回する、などが考えられます。
1-3-3.投票機能
質問に対しての回答を短時間で集めたい場合に、投票機能は優れています。選択肢を選んでもらう時には、大人数であっても自動で集計してもらえるため、結果を参加者全員ですぐに確認することができます。
1-3-4.反応ボタン
大人数の場合、拍手や理解をしたことを示すのに、音を出せないことがあります。また、一つの画面に入り切らないこともあったり、画面をオフにして参加している方がいる等も考えられる場合、反応ボタンで「いいね!」や「拍手」「ハート」等を伝えるだけでも、一体感が生まれます。
1-3-5.ホワイトボード機能
皆で、ホワイトボードに書きこむことができます。スタンプを押したり、文字を書いたりなども可能です。また、誰が書いたのかも表示される機能もあります。注意点としては、ホワイトボードデータそのものは、画像として保存されるため、文書としてまとめる時には改めて加工が必要となることがあります。議事録を取るのであれば、その他のソフトを利用した方が良いでしょう。
1-3-6.画面共有
画面共有をすることによって、各種データ(PowerPoint、Excel、Word)はもちろん、動画の共有も行うことができます。動画を共有する時には、音声を共有することも忘れないようにしましょう。
1-3-7.録画機能
研修コンテンツとして、自分を映しながら説明すれば、一人でも動画コンテンツを作成することが可能です。また、欠席者がいた場合にも、録画をしておけばそれを見るだけで、フォローツールとしても活用ができます。
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2.オンライン研修と集合型研修の違い
社員の人材育成・教育を担当される部署の皆さまのお悩みと言えば、オンライン研修と、集合型(対面)研修、どちらの方が効果を得られるのかといったことではないでしょうか? 特徴をまとめてみましょう。
2-1.オンライン研修の特徴
・参加者が長距離の移動をせずとも、自宅からでも受講が可能である
・安定したインターネット接続環境と情報通信機器(PC、タブレット、スマートフォン等)を準備する必要がある
・研修実施に関する諸経費(交通費・宿泊費等)を減らすことができる
・参加者、運営側に、IT関連の基本的な知識が必要である
・画面越しでの受講となり、集中力を維持しにくい
・一般的に、講師の熱量や空気感が届きにくい
・移動や、会場を必要としないため、一度に長時間のカリキュラムを組まなくてもよい。これまで年間2回だったとしたら、一回あたりの時間を削減し、回数を増やし、知識の定着を図る、フォローをするなどのカリキュラムを組むことも可能である
・万が一接続環境が悪化した場合には、進行がスムーズにいかないこともある
・情報だけを入手しやすい
・感染症のリスクは削減できる
2-2.集合型(対面)研修の特徴
・運営側が、会場の手配をする必要がある
・参加者が時間・場所をあわせ、移動し集まる必要がある
・感染症のリスクについては、オンライン研修と比較すると高い
・会場や移動に、時間やコストがかかる
・講師が空気感を作りやすく、受講生のモチベーションを上げやすい
・受講生が集中力を欠かないような工夫をしやすい
・研修がイベントになりやすい(回数が1年に1回等、少なめになりやすい)
・特別なITスキルや、IT関連機器の準備は不要である
・情報以外に、講師や参加者の感情なども入ってくる
2-3.進化するオンライン研修
オンライン研修では、集合型研修においては予想もできないことが起こることもあります。ただし、すべては事前準備が重要です。また、研修の人数や内容によっては、集合型研修とは異なり、オンラインをサポートするアシスタントを用意して運営することも検討しなくてはなりません。
更には、対面の研修では話すのが得意な講師も、オンラインとなると別物。オンラインだからこそ伝わりやすい話し方、スピードというものがあります。また、話し方以上に、聞き方というのも重要です。
2020年度、様々なオンライン研修を実施して分かったことは、どんな研修も基本的にオンラインで可能であるということ。ただし、1秒の速さを競うようなコンテンツや研修のワークや、複数名が揃って何かをするというのも向いていません。反対に、受講生同士が私語やおしゃべりなどはしにくく、個人ワークなどはしやすいということも分かってきました。また、少人数のグループワークは、運営さえスムーズに行えるよう工夫をしておけば、チームビルディングの疑似体験も可能です。
そして、もう一つ分かったのが、講師の力量については、オンライン研修は隠せない、ということも分かってきました。eラーニングや動画研修ならば、何度も撮り直しを行うことや編集することが可能ですが、オンライン研修はそうはいきません。瞬発力、判断力が、集合型研修以上に求められるのです。画面に映る参加者全員に目を配りながら、発言を受け止め、ライブ感を最大限に生かしながら、受講生を巻き込んでいく力。これは、一朝一夕には身につかないものです。経験とともに、場面を想定した工夫が欠かせません。是非とも、外部機関・研修会社を選ぶ時には、これまで以上に講師陣の質にも注意が必要です。
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3.オンライン研修での録画の活用方法
オンライン研修・セミナーを実施する際、特にZOOMの録画機能が便利です。運営の振り返りを行うことができる、参加者の様子をつぶさに確認することができる、必要な箇所だけ切り取り復習用動画として活用することもできる、等が考えられます。それでは、録画をする時の注意事項を押さえておきましょう。
3-1.研修の録画は、必ず事前に許可を
録画をする場合は、肖像権が問題となることが考えられます。録画をする目的としては、接続が切れた時の、万が一の保険として、というケースが多いかとは思います。しかし、事前に一言伝えてから録画ボタンをするようにしましょう。もちろん、ウェビナーなどで参加者が映像に映りこまない場合であっても、一言事前に断りがあると配慮がある企業・担当者という印象を与えることができます。
3-2.録画データの保存場所について
ZOOMにおいての録画データは、クラウド記録かローカル(ハードディスク)記録か、保存場を選択できます。デフォルト設定を、クラウドに指定することも可能です。この場合、フリープランか、有料プランか、また有料であってもプラン内容によって、クラウドの容量が異なります。あらかじめ容量を把握しておきましょう。また、ローカル記録の場合は、それらが記録されたコンピューターからしかアクセスできませんので、注意しましょう。
3-3.録画の変換動作について
変換動作は、ZOOMのミーティングやウェビナーが終わってから、自動で始まります。そのため、ミーティング後、同じ打ち合わせルームのURLを使って振り返りミーティングを行うと、変換動作が始まりません。振り返りミーティングを行う場合は、別のルームURLを設定するのがオススメです。変換作業時間は、PCのスペックなどにもよりますが、意外とかかるもの。半日のセミナーの場合30分程度かかる、ということもあります。
3-4.録画機能の便利な使い道
録画した動画について、意外と便利な使い道があります。
3-4-1.セミナー時に流す動画を事前に撮影できる
ZOOMですと、カメラ映りを自動調整してくれるため、簡単に動画撮影が可能です。もちろん、PCカメラを使う場合、場所の移動は限られます。そんな場合は、タブレットやスマホなどを使うこともできますし、カメラを繋げば可能性は無限大です。
なお、余談ですが、受講される方が初心者や個人、女性が多い場合は、カメラ映りをよくするための「ビデオツール」の使い方を、セミナー開始前にレクチャーしましょう。自分自身の表情の映り方がきれいになると、俄然やる気が出るようです。
3-4-2.「一人リハーサル」が可能である
オンライン研修やセミナーに不慣れな場合、なんといっても不安でいっぱい。そんな時に、誰かに手伝ってもらわなくとも、「一人リハーサル」が可能です!なぜなら、ZOOMでは記録ができるため、映り方、話し方、スライド操作のスムーズさを確認できるからです。実際の研修で失敗しないためにも・・・事前に自分で簡単に対策できるのが素晴らしいです。
3-5. 録画して分かる、話し方の癖の直し方
オンライン研修の場合、講師の良いところは普通に、普通なところは悪く、といった見え方に変わります。対面では気にならない、小さな癖も、カメラ越しとなると目に付くものです。
そこで、話し方を改善するには、録画はもちろんですが、画面の自分を見ない、普段よりも3倍オーバーにリアクションする、等に気を付け、工夫しましょう。声も重要です。画面の1メートル先に、誰かがいると思って、声を「張って」話すようにしましょう。
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