当社において、オンライン研修というのは、コロナという緊急事態がなければ、対岸の火事とでも言いましょうか、まったく想定外のコンテンツでした。
しかしながら、そんなことは言っていられないという切羽詰まった事態となり、それは情報収集と練習、トライ&エラー、様々なオンラインセミナーにチャレンジした結果、以前では考えられないほど、オンライン研修が当たり前になりました。
そんな、言い方は悪いのですが、まさに“ド素人”からスタートした私たちだからこそ、オンライン研修開催までのプロセスを振り返りながら、これからオンライン研修を考えている講師の方々のお役に立てばと思い、まとめてみました。
さて、まず「どうやって伝えるか?」についてです。
私どもの研修を受講してくださった方はご存じの通り、私どもは、かつては、研修においては基本的にテキストは使いませんでした。もちろん、絶対に押さえてほしい言葉などは、ホワイトボードに書いたり、必要なツールは紙にまとめて渡したりしていましたが、あくまで、テキスト類は補助ツール。よって、原則なし、が当たり前でした。
さて、そんな私たちの当たり前ですが、オンライン研修となると、そうも言っていられないことに気付きました。気づいたのは、他社様のセミナーや研修を受講してみて、体感したからです。資料がないと、講師の話したことはできる限り書き取りたい、画面共有された内容も控えたい、でも写真は撮れないし・・・となると、とてもではありませんが、ほとんど下を向いて書くことに集中することになってしまいました。
参加者がメモを必死に取っている中で、講師がいくら質問をしても、思考がそちらに行くわけもなく、ZOOMの最大の武器である「双方向」が意味をなさなくなります。
そこで気づいたのが、配布資料の必要性です。受講生はできる限り書き取らなくても、講師の話を聞いていられるようにする。
そして、次に、講師の画面です。ずーっと一人の講師が話している絵面は、正直面白くありません。背景は質素堅実、テレビ放送のように画面にテロップや動画が入ることもなく、講師がずっとバストアップで話しているだけだと、眠くなる気持ちを身をもって実感しました。また、講師側のカメラや照明によっても、相当な差が出ることが分かりました。
また、飽きさせないためにはどうしたら良いのか・・・画面共有するパワーポイント資料はもちろんのこと、講師の絵を変えるには、講師のジェスチャーをこれまでの3割増しにする、頷きを増やす、講師が一人でずっと進行するのではなく、二人で役割を分担しながら進めるなど。あえてパワーポイントにせず、手書きの資料を用意して、それを見せるなども行いました。
とはいえ、オンライン研修においては、ノンバーバルコミュニケーション以上にバーバルコミュニケーションが求められる世界です。言葉の力、具体的には、言葉を発するスキル、言葉を選択するスキル、言葉を組み立てるスキル、そして言葉の奥にある思考の軸、が不可欠です。どれか一つでも不足すると、伝わらない、誤解を生じさせる。そのため、今までなんとなくの雰囲気や気合といったもので研修を進行してきた講師にとっては、厳しい時代になったと言っても過言ではありません。
もう少し具体的に見ていきます。