NPS(ネットプロモータースコア)とは?
NPSとは、顧客が該当企業・ブランドに対してどの程度の愛着・信頼があるのかをアンケート調査し計算で数値化したもので、「Net Promoter Score」を略した言葉です。インターネットを利用している際、以下のような質問を受けたことがある方は多いと思います。
「●●●を家族・友人にどの程度薦めたいと思いますか?0~10の11段階で答えてください。」この質問は、NPSを算出するためのアンケートとなっています。算出方法はこのあと詳しく解説しますが、この質問の回答結果を活用することで、顧客の企業やブランドに対する愛着度や信頼度、他者への影響を計っているのです。
NPSを導入すれば、顧客の評価や現状の問題点を把握し、改善に生かすことが可能になるといわれています。
注目される理由
NPSが欧米で活用され、日本でも注目されているのは、「業績に直結する」という特徴があるからです。
企業の成長力や収益性と強い相関関係があることは各種調査で明らかになっており、実際に欧米の有力企業である「Apple」「Starbucks」「Amazon」「Facebook」「P&G」「Google」などでも採用されています。
現在、欧米の売上げ上位企業の30%以上がNPSを採用しているといわれており、今後は日本でも重要な指標となる可能性は高いでしょう。
顧客満足度との大きな違い
日本の企業にとってなじみが深い顧客の評価指標は、「顧客満足度」でしょう。顧客満足度とNPSの最も大きな違いは、成長・収益との連動性です。NPSは「他者に薦める」という将来的な行動を数値化するので、顧客満足度以上に
収益性との連動性が高いと考えられており、成長力との相関関係を裏付ける調査結果も公開されています。
NPSの調査方法
NPSの調査方法は、家族や友人・知人など周囲の人に、企業の「サービス・商品・ブランド」を薦める可能性が
どの程度あるかを、なるべくシンプルに質問することで行われます。先ほども紹介した以下のような質問です。
質問例:「●●●を家族・友人にどの程度薦めたいと思いますか?0~10の11段階で答えてください。」
回答の「0」は「薦める可能性がまったくない」、「10」が「薦める可能性が非常にある」です。
要点は、自身の満足度ではなく「周囲に薦めるか?」という質問になっている点です。周囲を巻き込む質問内容にすることで自分だけの問題ではなくなるため、本当に信頼し愛着を持っていないと基本的には薦めないと考えられています。
回答者の分類と計算方法
前回紹介した質問に対して9・10と回答した人は「推奨者」、7・8と回答した人は「中立者」、0から6までにした人は「批判者」と分類します。各カテゴリーに属する人たちの特徴は以下の通りです。
・推奨者(回答9,10)企業のサービス・商品・ブランドを継続的に購入・愛用し、常に周囲に薦める人たちです。
・中立者(回答7,8)ニュートラルな立場で比較的満足していますが、あまり熱狂的ではなく、特別周囲に薦めることもありませんが、悪口を言うこともない人たちです。何かきっかけがあると比較的簡単に競合のサービス・商品・ブランドに移ってしまいます。
・批判者(回答0~6)なんらかの不満を持つ顧客です。ネガティブな口コミを広げる可能性があります。
NPSの数値は、「推奨者の割合-批判者の割合」で算出します。
以下に計算例を挙げましょう。
<回答者200人中、推奨者100人・批判者60人の場合>
(100÷200)-(60÷200)=50%-30%
上記から、NPSは+20となります。スコアは推奨者が増えれば上昇し、批判者が増加すると低下します。極端な例ですが、計算の結果、-100になった場合は、調査対象者が全員批判者、+100になった場合は全員が推奨者です。
1.モデルケースをピックアップして活用する
自社の商品や店舗などに幅広くNPSを導入してモデルケースとなる対象を特定することで、他の商品や店舗に活用する方法があります。例えば、支店や支社を持つ企業であれば、全社で調査を実施します。その中でスコアの高い事業所を特定し、その事業所をモデルケースとして全社のNPSの向上を図ります。
2.メリットの強化とデメリットの改善に役立てる
NPSは、推奨者を増やして批判者を減らすことでスコアが上がりやすくなります。スコアを上げるには、推奨者がなぜ薦めるのか、批判される要因はどこにあるのかを正確に把握して、改善に役立てるとよいでしょう。
個別の商品の場合であれば、商品ごとに調査を実施してスコアの低い商品を特定。改善策を検討のうえ実施します。
おわりに
以上、今回は欧米を中心に多くの有名企業が採用しているNPSについて、数値の具体的な調査方法と計算方法、代表的な活用法に関してお伝えしました。NPSが注目されるのは、業績に直結し、成長・収益と高い連動性があるためです。
自社に取り入れる際は、業績向上のためという視点を忘れないようにすることが必要でしょう。
近い将来、NPSが欧米同様、日本でも企業成長のポイントの一つとなる可能性は大いにあると考えられます。