
この記事は、「新入社員研修」の実施を検討している人事担当者向けに、離職防止対策につながる新入社員研修を実施するコツについて紹介しています。
離職防止につながる新入社員研修のコツは以下のとおりです。
- ①他者とのコミュニケーション能力などを身につけるカリキュラムを採用する
- ②先輩や上司への安心感を確保するために外部講師に指導を依頼する
- ③現場で挫折させないために、何度も実践的に練習できる研修を選ぶ
以降の章で内容を解説していきます。
新入社員研修を「上手く行うコツ」全般については以下の記事にまとめています。
また、以下の記事では新入社員研修の「離職・退職を防ぐ」ための「面白い研修」事例を紹介しています。
1.「離職しやすい」新入社員に共通する特徴
近年、新入社員の早期離職率は増加傾向にあります。
その背景には、現代の学生生活や社会環境の変化によって形成された、離職につながりやすい特徴があると考えられます。
特にZ世代の新入社員はこうした傾向が比較的強く表れますが、これは環境的な要因によって育まれた特徴であり、現代の多くの新入社員に当てはまるものです。
以下では、離職しやすい新入社員にみられる主な特徴を整理し、それらがどのような背景で形成されたのかをまとめました。
| 特徴 | 背景 |
|---|---|
| ①対面でのコミュニケーションが苦手 | 学生時代からオンライン中心のやり取りに慣れ、表情や間のある対話を経験する機会が少なかったことが背景にあります。対面特有の空気感や即時反応に不安を感じやすく、職場での雑談や相談に心理的ハードルを抱えがちです。 |
| ②すぐに失敗したと思い込み、「自分は向いていない」と自己否定に結びつけてしまう | 失敗を「改善の材料」ではなく「能力の証明」と捉えやすい環境で育ってきた影響があります。 評価や比較にさらされる機会が多く、一度のつまずきを過大視し、自信喪失や早期の諦めにつながりやすくなります。 |
| ③不安が表に出にくく、限界まで我慢してしまう | 周囲に迷惑をかけてはいけない、弱音を見せるのは良くないという意識が強く、相談する前に抱え込んでしまう傾向があります。 結果として、不安が蓄積し、突然の離職という形で表面化しやすくなります。 |
| ④多様な価値観を重視し、ハラスメントにも敏感 | 個人の尊重や多様性を重視する教育や社会環境で育ち、否定的な言動に強いストレスを感じやすい背景があります。 指導や注意の意図が伝わらないと、人格否定と受け止めてしまうケースも少なくありません。 |
離職しやすい新入社員の背景には、能力不足ではなく「人との関わり方」や「失敗の捉え方」に対する不安があります。
対面経験の少なさや自己否定に結びつきやすい思考、我慢を美徳とする姿勢、ハラスメントへの敏感さなどが重なり、相談や立て直しが遅れることで離職につながりやすくなっています。
2.「離職防止につながる新入社員研修」実施のコツ
離職しやすい新入社員の特徴をふまえると、以下のコツを研修に取り入れるのがおすすめです。
- ①他者とのコミュニケーション能力などを身につけるカリキュラムを採用する
- ②先輩や上司への安心感を確保するために外部講師に指導を依頼する
- ③現場で挫折させないために、何度も実践的に練習できる研修を選ぶ
東京商工会議所が2024年4月に発表した新入社員向け意識調査では、多くの新卒社員は「規律性(社会のルールや人との約束を守る力)」に対する意識が低いという結果が出ています。
そのため、特にチームワークや社会性、他者とのコミュニケーション能力などを身につけるカリキュラムを重視すると現場とのギャップが少なく済みやすくなります。
以下、コツの内容について解説します。
<コツ①>他者とのコミュニケーション能力などを身につけるカリキュラムを採用する
離職の多くは「人間関係の不安」から始まります。
報連相や対面コミュニケーションなどの基礎を研修で身につけることで、現場での戸惑いや不安を減らすことができます。
安心して関係構築できる力は、離職防止のために最も重要なスキルです。
<コツ②>先輩や上司への安心感を確保するために外部講師に指導を依頼する
厳しい指導を社内で行うと、新入社員が「ハラスメント」だと感じてしまうことがあります。
また、先輩や上司が新入社員に厳しくすると、「怖い存在」と誤解しやすく、相談ができなくなり、不安や心配事があっても自分の中に溜め込んでしまいます。
外部講師に指導を依頼することで、「厳しさ」は外部講師が担当し、社内はフォロー役に回ることができるので、新入社員の心理的安全性が高まり、職場への定着率が安定しやすくなります。
<コツ③>現場で挫折させないために、何度も実践的に練習できる研修を選ぶ
昨今の新入社員は、ちょっとしたミスでも「失敗してしまった」と思いがちです。
失敗したと思うと、「この仕事は自分に向いていない」と感じて離職を選択肢に入れてしまいます。
「自分はできる」と新入社員が思える状態で現場に立てるように、ロールプレイや演習を繰り返す研修をしましょう。
3.離職防止につながるおすすめの研修内容
「離職しやすい新入社員の特徴」と「離職防止につながる研修のコツ」をふまえ、おすすめの研修内容をまとめると以下のとおりです。
| 不安を減らす「対人コミュニケーション基礎研修」 | |
|---|---|
| 具体的なカリキュラム・研修内容 |
|
| 離職防止につながる理由 | 新入社員は「どう話しかければよいか分からない」不安から相談をため込み、孤立しやすくなります。 対人コミュニケーションを具体的に練習しておくことで、職場で人に頼るハードルを下げ、不安の放置を防げます。 |
| 期待できる効果 | 先輩や上司への声かけがスムーズになり、報告や相談の量と質が安定します。 結果として、人間関係を理由とした早期離職のリスクが低下します。 |
| 現場で挫折させない「反復練習型スキル研修」 | |
|---|---|
| 具体的なカリキュラム・研修内容 |
|
| 離職防止につながる理由 | 現場で失敗が続くと「自分は向いていない」と感じ、離職を考えやすくなります。 研修内で成功体験を積ませることで、失敗への耐性と自信を保てます。 |
| 期待できる効果 | 行動への抵抗感が減り、電話応対や対面対応を避けなくなります。 現場経験が積み重なり、自己否定からの離職を防ぎます。 |
| 不安を放置しない「フォローアップ研修」 | |
|---|---|
| 具体的なカリキュラム・研修内容 |
|
| 離職防止につながる理由 | 新入社員の不安は表面化しにくく、放置すると一気に離職へ傾きます。 定期的に立ち戻れる場を用意することで、不安の深刻化を防げます。 |
| 期待できる効果 | 「一人で抱え込まなくてよい」という安心感が生まれ、課題を早期に修正できます。 結果として、定着率の向上につながります。 |
| 外部講師による「安心して指摘を受けられる実践研修」 | |
|---|---|
| 具体的なカリキュラム・研修内容 |
|
| 離職防止につながる理由 | 社内での注意や指摘を「否定」や「パワハラ」と受け取ってしまうと、職場への不信感が生まれます。 外部講師が厳しさを担うことで、社内の人間関係を守りながら改善指導ができます。 |
| 期待できる効果 | 指摘を前向きに受け止められるようになり、注意を恐れて萎縮する状態が減ります。 上司・先輩との関係性も安定し、職場に居づらくなることを防げます。 |
離職防止につながる新入社員研修で大切なのは、「不安をため込ませない理由をつくり、行動できる状態を維持する」ことです。対人不安・指摘への恐れ・失敗体験の連鎖を断ち切る研修内容の設計が、結果として早期離職を防ぐことにつながります。
4.離職防止につながる新入社員研修の実施には「厳しさの外注化」がおすすめ!
離職防止につながる新入社員研修の実施には、「厳しさの外注化」をすることがおすすめです。
昨今、特に令和のZ世代は扱いが難しく、社内で適切な指導を完結しづらくなっています。
例えば、以下のようなお悩みを抱えられている人事担当者が増えています。
- 「ハラスメント」等の定義や線引きがあいまいで、コンプライアンスとの整合性を取るのが難しい。
- 新入社員個々の権利意識や倫理規範に個人差が大きく、個別に配慮しようにも難易度が高い。
- 仕事においては「横並び」「他と一緒」でいいと思う人が多く、競争原理が働かずモチベーションの高め方が見えない。
- 「バブル世代」「氷河期世代」生まれの管理職からすると、全く経験のない「価値観」で、新入社員が持つ考え方の理解がしづらい
特にZ世代は新入社員に対して、厳しめの研修にすると、ハラスメントとの線引きが難しく、甘くなりがちです。
一方、甘くすれば早期離職の防止になるかと言えば全くそうではなく、身についてほしい部分が身につかないまま現場に出ることで自信を失い、離職するケースも一般的によくある話です。
こういった場合に、研修の一定部分を外部講師に委託できれば、「厳しさ」を保ったまま、適切な指導が可能です。
つまり外部講師が「厳しい」面を担当する事で、上司・先輩が「優しくサポーティブな存在」で居続けられるという構造が構築できます。
こうすれば上司や先輩に対する心理的安全も確保できるので、新入社員が職場に対して信頼を抱きやすくなります。
「Z世代向け」新入社員研修のコツについては以下の記事にまとめています。







